尼崎・とんこつラーメン

濃厚にして潔く、
鮮烈にしてふくよか

「ぶたのほし」では、基本的に豚骨と水だけでスープを作っています。どろっと濃厚なのにしつこさがなく、舌の上でふっと旨みに昇華されるような潔さ。
ぶたの命の輝きをとことん追求したスープです。

真摯に豚に向き合う

「ぶたのほし」では、スープを作るために毎日100㎏もの豚の骨を使います。開店前、その日に使う骨をハンマーで一本々々捌くのが、私の朝の日課です。「無鉄砲」で修行していた9年間も他のスタッフに任せることなく、全て自分で捌いてきました。骨は、たんなる無機質な塊ではなく、豚が生きてきた命の証。敬意を払い「うちの店のスープになってくれてありがとう」「お前らの命をお客さんの感動する味に変えるからな」と感謝の言葉をかけています。
「ぶたのほし」いう店名にしたのも、親愛なる豚への思いから。「無鉄砲」での修業期間を合わせると、私はこれまで30万頭以上の豚の骨を捌いてきました。その一頭ずつに尊い命があったことを忘れてはいけないし、その命を預かる限り一本も無駄にしてはいけない。"豚の命の輝き"という意味を込めて「ぶたのほし」と名付けました。
いつか私が死んで三途の川を渡る時、豚たちが川の向こうから「おいしく調理してくれてありがとう！」って迎えてくれるような、そんなスープを目指しています。

豚の命を生かしきる

豚の骨には一本々々個性があります。種別や性別はもちろんのこと、季節によっても大きく異なります。暑い時の豚は水ばかり飲むので骨が細くなりますし、冬は良く食べるので太くなります。
部位によっても、スープにした時の味はさまざまです。例えば背骨の場合、比較的硬い脂肪が多いため、コクが増して濃厚さを強調してくれますし、骨に赤身の肉がたくさん付いているため、それがスープに溶け込んで味も深まります。また、同じ足の骨でも、前足と後ろ足では詰まっている髄の量や、関節の周りについている脂肪の量も全く異なり、一本として同じ骨はありません。それぞれの個性を熟知し、捌く時にどの角度でハンマーを入れて割れ目を作るのか、スープのどの段階で投入するのか、緻密に計算します。
手間を省こうと思えば、最初から切断された骨を取り寄せることもできますが、それではおいしいスープは作れません。豚の命を生かし切るためには、一切の妥協も怠慢も許されないのです。